ミネラルファスティング時のエネルギー源であるケトン体。
ケトン体には、呼気で排出されるアセトンと、
エネルギー源として使われるアセト酢酸、βヒドロキシ酪酸の
3つがあります。
その中のβヒドロキシ酪酸が、Mnスーパーオキシドジスムターゼや
カタラーゼという抗酸化(抗老化)物質を発現させるという発表が
なされているようです。
1)培養細胞やマウスの動物実験でβヒドロキシ酪酸は
クラスIヒストン脱アセチル化酵素のはたらきを阻害する。
2)飢餓時や直接βヒドロキシ酪酸を投与する方法でマウスの血中の
βヒドロキシ酪酸の濃度(0.6~1.5mM)を上昇させると、
腎臓など複数の臓器においてヒストンのアセチル化が
増えていることが確認できた。
3)βヒドロキシ酪酸によって発現が亢進する遺伝子として、
細胞周期の停止や酸化ストレス耐性にかかわる転写因子を
コードしているFOXO3a遺伝子や、酸化ストレス耐性遺伝子の
Mt2が同定された。つまり、βヒドロキシ酪酸は
クラスIヒストン脱アセチル化酵素を阻害することによって
FOXO3aやMt2などの酸化ストレス耐性遺伝子のプロモーターにおける
ヒストンの高アセチル化を引き起こしていると考えられた。
4)酸化ストレス耐性に重要な働きを果たしている抗酸化物質
Mnスーパーオキシドジスムターゼ(Mn-SOD)およびカタラーゼは
転写因子FOXO3aの標的遺伝子である。βヒドロキシ酪酸の
投与によって、マウスの腎臓において、FOXO3aのみならず、
Mnスーパーオキシドジスムターゼ(Mn-SOD)とカタラーゼの
発現量もタンパク質レベルで顕著に増加していた。
※Suppression of oxidative stress by β-hydroxybutyrate, an endogenous histone deacetylase inhibitor.(内在性のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるβヒドロキシ酪酸による酸化ストレスの抑制)Science 339(6116): 211-4, 2013