はじめに
2024年4月現在、長時間の空腹や体重のリバウンドをできる限り避けるダイエットの方法として、半日(12時間)または16時間「食べない」時間をつくるようにするファスティング(断食)のやり方が注目を浴びています。
この記事では、インターミッテント・ファスティングと呼ばれる16時間のプチ断食でも「低血糖」が起こる可能性がある場合の原因と対処法について、分子整合医学美容食育協会の医療顧問で野口基礎医療クリニック院長の野口勇人(のぐちはやと)医師がわかりやすく解説します。
16時間プチ断食(インターミッテント・ファスティング)とは
分子整合医学美容食育協会認定の上級講師で分子栄養学にも精通している三山真輝(みやままき)先生がインターミッテント・ファスティングと呼ばれる16時間プチ断食の定義について、とてもわかりやすくブログ内で紹介しています。以下、三山先生から許可が得られた文章を引用(一部改変)します。
インターミッテントファスティングとは
インターミッテント【断続的】な
ファスティング【断食】
つまり、1日の中で
食事をする時間
断食をする時間を分け
断続的にファスティングをする事です。
例えばですが、
朝ご飯はファスティング用の酵素ドリンクを摂取
昼ご飯はお食事をする
晩ご飯もお食事をする
といった風にお食事も楽しんで頂きながら、
短めのファスティングが実施できる! という方法になります
そして、三山先生はインターミッテント・ファスティングを
●飲食店で働いていらっしゃる方
●会食や飲み会などが多い方
●長いファスティングを実施するには日程の確保が難しい方
●カフェインや白砂糖、パンなどがわかっちゃいるけどやめられない方
にお勧めしているそうです。
ライフスタイルが多様化する中、本格的にファスティング(断食)を行うのは難しい人にとって、インターミッテント・ファスティングは有り難い方法といえるでしょう。
食べない期間を3日以上取る少し長めのファスティングは脂肪燃焼やデトックス、ダイエットに効果があるとされていますが、インターミッテント・ファスティングの効果は少し異なるようです。
インターミッテント・ファスティングの主な効果として、
●オートファジー活性:古くなった細胞内小器官の分解・再利用による新陳代謝の活性化
●サーチュイン遺伝子(延命遺伝子・長寿遺伝子)の活性
●内臓の休息
●食生活の見直し
気が楽にでき、以上のような効果を期待できる16時間プチ断食(インターミッテント・ファスティング)ですが、人によっては「低血糖」が起こる危険があります。
ファスティング(断食)に欠かせない肝臓と低血糖に関する重要な知識
低血糖とは、血液中の糖分レベル(血糖値)が異常に低くなる状態です。低血糖の症状には、めまい、頭痛、ふらつき、震え、意識障害などがあります。そして、低血糖状態から回復しないと、重篤な合併症や死に至ることもあります。
血糖値の調節といえば、インスリンという血糖値を下げるホルモンやグルカゴンという血糖値を上げるホルモンを分泌する膵臓のことを思い浮かべるかもしれません。実は、血糖値を調節する働きを担っている内臓は膵臓だけではないのです。
血液中の糖分レベル(血糖値)を調節する働きを担っている膵臓以外の内臓でファスティング(断食)の知識に欠かせないのは、代謝の要である「肝臓」です。食事などによって摂取された糖質は一部が肝臓に貯蔵され、必要に応じて放出されます。
一方で、生命維持のために必要な栄養素の摂取不足や飢餓状態などによって体内の糖分が十分に確保されない状態が続くと、身体を働かせるエネルギー源として脂肪やたんぱく質から糖をつくり出す「糖新生」と呼ばれる現象が起こります。そうすることで低血糖を防ぐ糖新生を担っているのも肝臓です。したがって、肝臓が何らかの理由で十分に機能していない場合、低血糖のリスクが高まります。
人の体は恒常性(身体の状態を一定に保つ性質)を維持するために、昼夜問わず血液中の糖分レベルを高過ぎず、低過ぎない範囲に保つ必要があるわけですが、その調節を担っている肝臓が正常に機能するためには、肝臓の働きを助ける栄養が欠かせません。ですから、肝臓が十分に機能していない人ほど、肝臓を助ける栄養素を毎日欠かさず補給する必要があるでしょう。
ファスティング(断食)は一定の期間、食べる物を絶つ行為であり、水を摂取することはできても、食事による肝臓への栄養の供給が断たれます。そのため、肝臓の予備能力が落ちている人は、ファスティング(断食)をしてはいけない可能性があります。これは、16時間プチ断食(インターミッテント・ファスティング)においても同様です。なぜなら、たとえ16時間の絶食時間だとしても、肝臓がいわゆる栄養の不足でその機能を十分に果たせないと、血糖値を一定のレベルに維持することができず、低血糖になる可能性があるからです。
肝臓の働きに問題のない人は、肝臓の予備能力、つまり、肝臓が正常に機能するための十分な栄養の蓄えがあるため、ファスティング(断食)中に血糖値が維持できるよう、肝臓がその役割を担うわけですが、何らかの原因で肝臓の予備能力が落ちている人は、そうはいきません。
肝臓に問題や不安を抱えている人が取るべき対処法
以上のことから、肝臓に問題や不安を抱えている人は、16時間のプチ断食(インターミッテント・ファスティング)だとしてもファスティング(断食)を控えるべきかもしれませんので、自己判断で断食を行うのは止めましょう。そして、分子整合医学美容食育協会認定のファスティングマイスター(ファスティングの指導ができる有資格者)や肝臓に詳しい医師に相談のうえ、16時間のプチ断食を含めたファスティング(断食)の可否等について確認されることを強く推奨します。
では、ファスティング(断食)を控えたほうがよいほど肝臓が健康ではない人の肝機能を少しでも改善させるには、どうしたらいいのでしょうか?
肝臓を助ける食品の代表は「大豆」です。特に、味噌汁や納豆といった大豆発酵食品の積極的な摂取がおすすめです。なぜなら、肝臓は消化器官の一種であり、肝臓に問題のある人は、自覚症状がなくても胃や腸にも問題を抱えている可能性があるからです。
もし、エキスパート・ファスティングマイスターや肝臓に詳しい医師に相談した結果、「16時間のプチ断食(インターミッテント・ファスティング)ならやってもいいかもしれないが、肝臓を労わりながらやったほうがよい」と言われた場合、16時間の断食をする前と後に味噌汁や納豆といった大豆発酵食品を摂取することで、肝臓を助けるようにするとよいでしょう。例えば、朝食と昼食は食事を摂り、夕食を摂らないようにするという16時間ファスティング(プチ断食)を行う場合、プチ断食前の朝食または昼食に味噌汁や納豆を摂り、プチ断食後の翌朝にも味噌汁を飲んだり納豆を食べたりすることで、肝臓を労わりましょうということです。
一方で、「朝の食事を抜くやり方の16時間ファスティングが適しているのか?」それとも、「夕方の食事を抜くやり方の16時間ファスティングが適しているのか?」についても、エキスパート・ファスティングマイスターや肝臓に詳しい医師に確認するようにしましょう。なぜなら、朝の食事を抜くやり方で16時間ファスティングを実践したところ、血糖値の異常だけでなく、中性脂肪やコレステロール値の異常といった脂質代謝の異常もきたすようになってしまったという事例が割と多いからです。
ちなみに、発酵食品なら何でもいいわけではなく、肝臓を助ける食品はあくまでも「大豆」の発酵食品であることに注意しましょう。発酵食品といえば乳ヨーグルトが有名ですが、乳ヨーグルトは人の体質によって肝臓をはじめとする消化器官に負担となる場合があります。ですから、肝臓を労わるなら、乳ヨーグルトではなく、味噌汁や納豆の積極的な摂取が適しているといえるでしょう。
無論、肝臓の助けとなる食品は大豆だけではありません。詳しいことを知りたい人は、「食」の情報について体系的かつ実践的に学ぶことができるところで勉強されることをおすすめします。
無論、肝臓の助けとなる食品は大豆だけではありません。詳しいことを知りたい人は、「食」の情報について体系的かつ実践的に学ぶことができるところで勉強されることをおすすめします。
おわりに
分子整合医学美容食育協会では、ダイエット(体重の減少)、免疫力、腸内環境の改善にも役立ち、安全にできる断食法「ミネラルファスティング」だけでなく、健康な毎日を過ごすために大切な「食」の情報についても体系的かつ実践的に学ぶことができます。ファスティングと食育、つまり、マイナスとプラスの健康法を学べるファスティングマイスター学院のホームページはこちらです↓。
記事にもありました、3日以上のファスティングを行う場合は、準備期間や復食期間それに、ファスティングドリンクや良質な水を飲んだりする量を間違えたり疎かにすると、頭痛や空腹感を感じることがあります。ファスティングを行う際には、ファスティング専用ドリンクや水分の摂取や準備期間に食べるものによって消化に負担をかけないように注意することが非常に大切ですので、3日以上の断食を行う際は、お近くのエキスパート・ファスティングマイスターや健康美容食育士の指導のもと行うことをお勧めします。
著書『免疫を高める食事』レシピ付き本
分子整合医学美容食育協会医療顧問 野口 勇人
執筆:分子整合医学美容食育協会医療顧問 野口 勇人
アイデア・プロバイダー:ファスティングマイスター学院:三山真輝上級講師