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16時間ダイエット法として注目を集めているファスティングですが、断食中の間にコーヒーを飲んでもいいのでしょうか?
飲んではいけない人や飲むのに適した時間などについて、野口医師が解説します。
はじめに
令和も6年になり、単なるカロリー制限によるダイエットではなく、できる限り空腹を避けつつ痩せる方法として、酵素ドリンクと水を摂取しながら断食を行うファスティングや、1日の中で食事をする時間と断食をする時間を分け、断続的にファスティングを行うインターミッテントファスティング(通称16時間ダイエット)が注目を集めています。
ファスティング(断食)を実践するにあたり、知っておくべき情報や知識として挙げられる飲み物のひとつが「コーヒー」です。断食中にコーヒーを飲んでも良いのか、疑問に思っている方も多いのではないでしょうか?
この記事では、医師がファスティング中のコーヒーについて☟
コーヒーは飲んでも良いものか?
コーヒーを飲むのに適した時間帯は?
ノンカフェインのコーヒーなら大丈夫?
ファスティングでコーヒーを飲むと太ってしまう?
コーヒーアレルギーってあるの?
ファスティング中の体調不良の原因はコーヒーにあるのか?
など、ファスティング中のコーヒーに関する知りたい情報が全て網羅されています。
この記事を読めば、コーヒーの飲み方や飲むのに適した時間帯が分かり、賢くコーヒーを楽しむことができますし、安心してファスティングを行うこともできるでしょう!
その他、コーヒーアレルギーや体調不良の原因についても記載しておりますので、適切な対処法を取ることもできます。
コーヒー好きの方はもちろん、ファスティングに興味がある方、健康的なダイエット方法を探している方にぜひ読んでいただきたい記事です!
それでは、分子整合医学美容食育協会(ファスティングマイスター学院)宛に多く寄せられた「コーヒー」に関連する質問について、医療顧問の野口勇人(のぐちはやと)医師による回答・解説をお届けします。
「ファスティング中にコーヒーを飲んでもいいのでしょうか?」
結論からお伝えすると、ファスティング(断食)中にコーヒーを飲むことはおすすめできません。その理由のひとつとして、コーヒーの中に含まれる「カフェイン」が挙げられます。
「カフェイン」には覚醒作用および利尿作用などがあります。
短期的なメリットとして、眠気覚ましや疲労感の回復に役立つとされるものの、実際に疲労が回復するわけではありません。
長期的あるいは過剰に摂取すると、不眠や頭痛、めまい、吐き気、不安などの症状があらわれることがあります。これらの症状に加え、カフェインの交感神経を刺激する作用により、血圧の上昇や頻脈、動悸、胃腸の障害をきたすことすらもあります。
一方で、カフェインは依存性があるとされ、脳神経の働きに影響を及ぼす危険性もあることから、過剰摂取は問題とされています。
薬としての効果や有効性があるという考えから、薬のカテゴリーに分類され、医薬品としても使用されているカフェインですが、1回の服用あたりに500mg以上のカフェインを含むものは劇薬として指定されているほど問題のある成分なのです。
頭痛や吐き気などの症状はファスティングそのものによってもあらわれることがありますので、ファスティング前の準備期間(準備期)、ファスティング中(断食期)、回復食の時期(復食期)ともに、カフェインを含むコーヒーの摂取は極力控えるべきでしょう。
ちなみに、普段カフェインを多く摂っている人がファスティングを行う際、カフェインも一緒に断つと、ファスティング2日目頃にカフェインを欲する症状が強くあらわれることが多いといわれています。
ファスティング中にカフェイン依存の症状にできる限り苦しまないようにするためにも、普段カフェインを摂る習慣のある人は、段階を追って徐々にカフェインの摂取量を減らしてからファスティングに臨むようにしたいものですね。
「ノンカフェインのコーヒーなら断食中に飲んでもいいのでは?」
確かに、ノンカフェインのコーヒーには定義上、カフェインが含まれていないとされています。ですので、先述の解説からすると、ノンカフェインのコーヒーならファスティング(断食)中に飲んでもいいということになりそうですが、そうとは限りません。
実は、コーヒーはホットで飲んでも身体を冷やしてしまう性質があります。コーヒーの温度やカフェインの影響ではなく、コーヒー自体に身体を冷やす性質があるからなのですが、これは漢方医学などによって明かされています。もちろん、身体を冷やす性質は、砂糖やミルクを入れていないブラックコーヒーにも当てはまります。
ファスティング中は食事を摂取しない分、食べた物が体内で燃焼される際に生じる熱、つまり、消化や代謝によるエネルギーの産生が落ちるため、体が冷えやすくなります。そのため、普段から冷え性の状態にある人は、たとえノンカフェインだとしても、コーヒーの摂取は控えたほうが体を冷やさずに済むので、よいでしょう。
ちなみに、カフェインレスやデカフェのコーヒーには少量とはいえ、カフェインが含まれているものがありますので、こうした点でも注意が必要です。
「16時間ダイエットのやり方ならコーヒーを飲んでもOK?」
先ほど紹介した、『カフェインを欲する症状がファスティング2日目頃に強くあらわれる』という理由から、食べない期間が1日を越えない16時間ダイエットの方法(インターミッテントファスティング)ならカフェイン入りのコーヒーを飲んでもOK!…ということになりそうですが、そうとは限りません。
確かに、コーヒー内に含まれているカフェインの交感神経を優位にさせる働きによって、脂肪の分解が促進される可能性はあります。ですが、その一方で、カフェインによって分泌が誘発される「コルチゾール」と呼ばれる副腎皮質ホルモンの一種は、内臓脂肪の蓄積にかかわることで知られています。つまり、カフェインの摂取によって、脂肪が分解される可能性と、脂肪が蓄積される可能性の両方があり得るということです。
一般的に、カフェインは摂取してから10〜30分程度で効果があらわれるとされているため、たとえ1日あたり16時間という断食期間だとしても、カフェインの交感神経および副腎皮質への影響はあり得ます。
したがって、ダイエットの目的で16時間の断食を行うのなら、脂肪が蓄積される可能性が否定しきれないカフェイン入りのコーヒーを飲むのは、ダイエットの成功を妨げてしまうことになるかもしれないのです。
「コーヒーを飲んではいけない人はいるのでしょうか?」
コーヒー内に含まれているカフェインが原因で起こるアレルギー、つまり、カフェインアレルギーというものは2024年5月現在、国内外ともに報告されていないとされています。さらに、その根拠となりそうな理由として、「カフェインには抗アレルギー作用がある」という研究の結果を日本の研究者が発表しています。つまり、カフェインにはアレルギー反応を抑える働きがあるということなのです。
一方で、コーヒーそのものに対するアレルギーは存在します。
コーヒーアレルギーの主な症状として、湿疹、痒みなどの皮膚症状や下痢などが挙げられます。コーヒーを飲んでから症状があらわれるまでの時間には個人差があり、コーヒーを飲んで数時間以上経ってから、あるいは、数日かかる場合もあります。
したがって、自分がコーヒーアレルギーかどうかを自己判断するのは難しいでしょう。ですので、コーヒーを飲んだ後、何らかの症状や体調不良があらわれるようでしたら、医療機関で診てもらうことをおすすめします。
「コーヒーを飲むのに適した時間はありますか?」
ファスティング(断食)や16時間ダイエットの最中に限らず、コーヒーの摂取は普段から控えめにしておいたほうが良いのが事実。
それでも、コーヒーの影響を理解したうえで「飲みたい!」というのであれば、飲む時間を工夫するのが重要です。なぜなら、コーヒーに含まれるカフェインは、朝の調子や睡眠にも影響を及ぼしてしまうから。
朝起きてすぐにコーヒーを飲んでしまうと、朝の目覚め、つまり、覚醒を助けるために副腎皮質から分泌される「コルチゾール」と呼ばれるホルモンの分泌を、コーヒー内に含まれるカフェインが抑制してしまいます。すると、眠気や倦怠感をきたすようになり、日中の調子が悪くなってしまうことが増えてしまうのです。
コルチゾールの分泌は午前8〜9時を過ぎる頃から徐々に分泌量が低下していくとされていますので、コーヒーを午前中に飲みたいというのなら、早くても午前10時頃にしたほうが良いでしょう。
一方で、コーヒー内のカフェインには利尿作用があるとはいうものの、飲んですぐにカフェインが体外へ排泄されるわけではありません。個人差があるとはいえ、カフェインの摂取後8時間程度、それが体内に残るケースもあるようです。
カフェインの睡眠に対する影響を考えますと、コーヒーの摂取は「おやつ」の時間、つまり、午後3時頃までに済ませるようにしたいものですね。
したがって、コーヒーを飲みたいという人は、午前10時頃から午後3時頃までの間にしておくのが賢明であるといえるでしょう。
おわりに
分子整合医学美容食育協会では、ダイエット、免疫力、腸内環境の改善にも役立ち、安全にできる断食法「ミネラルファスティング」およびファスティング中に起こり得る症状への対処法だけでなく、健康な毎日を過ごすために大切な「食」の情報についても体系的かつ実践的に学ぶことができます。ファスティングと食育、つまり、マイナスとプラスの健康法を学べるファスティングマイスター学院のホームページはこちらになります。美と健康に興味がある方はぜひ一度、ご覧ください。
文責:分子整合医学美容食育協会
医療顧問 野口 勇人
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