目次
食事制限やファスティングによる空腹状態が、美容や健康に効果的なことが認知されてきました。今回は歴史ある現代の断食法『ミネラルファスティング』と、空腹で活性化する細胞浄化機能『オートファジー』との関係について解説していきます。
ファスティングマイスター学院の最高峰の資格である1級の講師を務めておられる、顧問の宮﨑先生に教えていただきました。
アカゲザルの実験
上記の写真は、アメリカのウィスコンシン大学などの研究チームが20年にわたって行った実験(※1)です。
とても有名な写真なので何かの記事で見たことがある方も多いと思いますが、右がカロリー制限を加えたサル、左は食べたいだけ食べてきた同年齢のサルになります。
顔つきの精悍さ、体の毛並みを見ると、どちらが老け込んでいるかは一目瞭然だと思います。
カロリー食事制限による空腹状態は、アンチエイジング効果や生活習慣病の予防につながるということが広く知られるようになってきています。一食を抜いた16時間断食(インターミッテント・ファスティング)などに取り組む方も多くなってきました。
このような空腹状態は、体内の細胞の本来の力を取り戻させ、健康や美容に効果的な方法であることがわかってきています。
空腹時間の必要性
『長生きしたいなら、食事を減らしなさい』
〜ベンジャミン・フランクリン〜
『満腹が原因の病気は、空腹によって治る』
〜医聖・ヒポクラテス〜
『朝は少食(しょうじき)、昼は正食(しょうじき)、
夜は非食(ひじき)』〜仏教のことば〜
以上の言葉や格言のように、カロリーや食事制限することによる健康効果は、古くから気づかれ唱えられてきたようです。
毎日朝昼晩、絶えず食べたいものを食べたいだけ食べることは、その人の体内はまさに「ブラック企業」の状態と同じで、
体の中の細胞はヘトヘトに疲弊してしまいます。
食事制限(ダイエット)やファスティング(断食)で空腹習慣を持つことは、細胞にひと時の休憩を与えて癒し効果にもつながります。
この癒しの大きな要因の一つに、『オートファジー』という細胞にとってとても大切な働きがあるのです。
オートファジーについて
『オートファジー』とは、1963年にベルギーの生化学者であるクリスチャン・ド・デューブが命名しました。オートファジーとは、ギリシャ語で「自分自身を食べること(自食)」という意味を表す言葉です。
オートファジーは細胞内で働く機能で、細胞内で損傷したり、老化や劣化した細胞小器官(細胞内で色々な働きや役割を持つ器官。
ミトコンドリアや小胞体など。)や細胞内有害物質(細菌やウィルスなど。)を分解、排除して、さらに分解物(アミノ酸など。)を必要なものに再利用していく機能です(下図参照)。
簡単に言うと『細胞内の大掃除』をすることです。私たちのエネルギー(ATP)の大半をつくってくれる細胞内小器官の
ひとつミトコンドリアも、劣化してしまうと有害な活性酸素を細胞内にばら撒いたりすることもあるのです。この活性酸素は、
アンチエイジングの大敵で美容や健康に良くないどころか、さまざまな病気を引き起こす原因ともなります。
不要なものを分解して細胞内の環境を守る、そして分解物を再利用するという回収から分解処理、リサイクルまで行う機能を『オートファジー』と言います。オートファジー機能は普段も細胞内で起きており、細胞内の有害物を排除するような免疫的な役割も果たしていますが、空腹状態におかれると数時間でオートファジー機能はさらに活性化します。
まさに細胞内に必要な健全なる破壊を起こす、スクラップ&ビルドを担う中心なのです。
そしてこのオートファジーという言葉は、近年脚光を浴びたことは記憶に新しい方も多いと思います。分子細胞生物学者の大隅良典教授が『オートファジーの仕組みの解明』により、2016年ノーベル生理学賞・医学賞の受賞を果たしました。
細胞に溜まった不良タンパク質が病気を引き起こす
タンパク質、いわゆるプロテインという言葉の由来は「最も大切、1番の」という意味を表すギリシャ語です。
その意味のとおり、私たち人間の体内では常に、1日中絶えることなく色々なタンパク質が作り出されています。
筋肉はもちろん、内臓、骨、血液、髪の毛、皮膚、爪だけでなく、からだの中でさまざまな代謝を引き起こす「酵素」、「ホルモン」「神経伝達物質」などもすべてタンパク質です。
しかし、細胞内の機能の低下や劣化、タンパク質を作り出すデータ源であるDNAの損傷などが起こると、細胞内に不良品の
ようなタンパク質が蓄積していくことがあります。
そのような劣化した細胞を退場させるため、多くの細胞には寿命があり、腸の表面の細胞(上皮細胞)などは数日で、酸素を運ぶ赤血球も約120日で入れ変わります。そのような入れ替わりによって、人間の体内は知らない間に常にメンテナンスされているのです。
しかし、入れ替わりのない一生ものの細胞も存在します。
それは、心臓の心筋細胞と脳の神経細胞です。この2つの細胞だけは入れ替わりがありませんので、生涯にわたって長く使っていくため、にはオートファジーによる細胞の大掃除が欠かせません。神経変性疾患と言われているアルツハイマー病、パーキンソン病などは脳神経細胞に、心不全は心筋細胞に、不良タンパク質の塊が蓄積していくことが大きな原因の1つとなります。
その他、オートファジーの働きが悪くなることが原因で起こる可能性の疾患には次のようなものがあります。肺がん、白血病、リンパ腫、肝細胞がん、2型糖尿病、脂肪肝、メタボリック症候群、うつ病、乳がん、全身性エリテマトーデスなどです(※2)。
また、オートファジー機能は、残念ながら加齢とともにその機能に衰えが起こります。そこでお勧めしたいのが、杏林予防医学研究所所長の山田豊文先生が考案した現代人のための断食法『ミネラルファスティング(※3)』です。日常生活への定期的なミネラルファスティングの導入により、オートファジー機能を活性化させ病気になりにくい体づくりを目指すのです。
日本で初めて発酵(酵素)ドリンクを使用した断食『ミネラルファスティング』
山田式断食メソッドの『ミネラルファスティング』は、山田豊文先生が約30年前に開発、提唱、実践してきた、日本で初めて発酵ドリンク(酵素ドリンク)を使用した断食メソッドです。まさに歴史と実績を兼ね備えた安全な現代のファスティング方法です。山田豊文先生はミネラルファスティングを中心とした栄養食事指導を、プロアスリートに対しても提案し実践されてきています。ここで名前を挙げることができないのが何とも残念なのですが、プロ野球選手(メジャーリーガー含む)、プロレスラー、プロゴルファー、そして何と大相撲の力士にまで提案して実績を上げてきています。
↓ 山田豊文先生の著書『超人をつくるアスリート飯』
著書も多数執筆されています❗️
ミネラルファスティングに使用する発酵ドリンクには、山田豊文先生がセレクトし設計した『マグネシウム』『MSM(メチルスルフォニルメタン)』『L-カルニチン』の3本柱が基本成分です。
『マグネシウム』は糖や脂質からエネルギーを作り出していく上で、その代謝に欠かせないミネラルになります。日常生活とは違い食事制限することから、限られた栄養素から効率よくエネルギーを作り出していくためにも欠かせません。マグネシウムは体内の各種代謝に一番多く関わるミネラルで、その種類は700〜800とも言われています(※4)。
『MSM(メチルスルフォニルメタン)』にもさまざまな働きがあり、「抗炎症」「抗酸化」「免疫調節」などに関わる重要なミネラルの「硫黄(いおう)」を体内に供与していきます。オートファジーによる細胞の修復にも大切な役割を果たしていきます。
3つ目の『L-カルニチン』は、ミネラルファスティング中にメインのエネルギー源である脂質(脂肪酸)からエネルギーを作る上で欠かすことのできない栄養素です。脂質(脂肪酸)からのエネルギーはミトコンドリアで作られるのですが、L-カルニチンが不足していると、脂質(脂肪酸)をミトコンドリアに運ぶことができません。
まさに暖炉はあるのに、薪をくべられないという状態になってしまうのです。
しかし、いきなり何日ものミネラルファスティングをするのに抵抗がある方は、16時間断食(インターミッテントファスティング)や半日ファスティングから始めて、1日ファスティングへと空腹に慣れることから始めてもいいでしょう。
次のステップとして、3日〜7日のファスティングに挑戦して体内の大掃除(オートファジー)により細胞を修復していくのです。
ミネラルファスティングは歴史と実績がある、多くの方々に使用されてきた発酵ドリンクを使用しますので、思っていた以上に空腹感がなくファスティングできたという感想をよくお聞きします。初めてのミネラルファスティングなので、3日を予定でスタートしたものの、あまりに快適(時間が経つごとに空腹感は慣れていきます。)で5日に延長するような方もよくおられます。
ただし、数日間のファスティングを行うためには知識も必要です。当協会でファスティングマイスター初級検定を受講していただくか、ファスティングマイスター2級検定以上の有資格者にファスティングサポートを依頼することが必要です。
ファスティングに入る前の準備食期間、ファスティング終了後の回復食期間の食事がミネラルファスティングにはとても重要になってきますので、その際の食事指導も受けることができます。
↓サポートが出来るファスティングマイスターは全国にいます❗️
以上のように、準備期、断食期、回復期のすべてがミネラルファスティングです。いくら断食中とはいえ、ファスティング中に欠かせない栄養素があるということを、よくご理解いただきたいと思います。
水だけ断食(無栄養断食)の危険性
最後に、無栄養状態で行うファスティングの危険性にも触れておきます。
マウス実験においてですが、『絶食時に脂肪組織でオートファジーが活性化し、その結果、脂肪組織が減少して肝臓に脂肪が蓄積することが判明した。』というレポートが大阪大学研究室によって2022年に発表されました(※5)。
無栄養状態に置かれた中で、オートファジー機能を抑制するタンパク質である「ルビコン(2009年に吉森保教授らが発見)」が分解され、それによりオートファジーのブレーキが外れて過剰化、さらに脂肪細胞に脂肪を蓄積するために働くタンパク質(SRC-1、TIF2)も分解され、蓄積されずに行き場を失った脂肪が、肝臓に蓄積して脂肪肝になっていくというものです。
ミネラルファスティングには、脂肪をミトコンドリアに運ぶL-カルニチンと、脂肪をエネルギーに変えるのに欠かせないマグネシウムが入っていましたので、改めて山田豊文先生が考案した断食法の『3本柱』の基本成分『マグネシウム』『MSM』『Lーカルニチン』の必要性がこのレポートからよく理解できると思います。
ただ食べないというだけの水断食などは、体にとってとても負担となり危険なのです。医師の管理下で行う場合を除いてはお勧めできません。
引用
※1)『Caloric Restriction Delays Disease Onset and Mortality in Rhesus Monkeys』(SCIENCE.10 Jul 2009;Vol 325, Issue 5937:201-204)
※2)『SWITCH』(ジェームズ・W・クレメント著 日経BP)
※3)ミネラルファスティング®️は杏林予防医学研究所の登録商標です。
※4)『The Magnesium Miracle (Second Edition)』(Carolyn Dean 2017年8月)
※5)『Loss of Rubicon in adipocytes mediates the upregulation of autophagy to promote the fasting response』
(米国科学誌Autophagy 2022年3月)
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ファスティングマイスター学院のテキストは常に改正されてます。そのテキストを作成されている検定委員会の中心メンバーでもあり、当学院最高峰の資格でもあるプロフェッショナル・ファスティングマイスター検定(1級)の講師でもある宮﨑喜文先生より記事を書いていただきました!
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