今回の記事は、当協会医療顧問
野口勇人先生(総合内科医)の
母校(日本大学医学部)の先輩、
奥平智之先生(精神科医)の
Web上の記事を、奥平先生の了承を
得た上でご紹介させて頂きます。
↓ 奥平智之先生のウェブサイト
【アルツハイマー型認知症と亜鉛】
亜鉛(Zn)は、加齢によって減少し、
アルツハイマー病によってさらに減少
します。
亜鉛は、グルタミン酸作動性神経
(海馬や大脳新皮質などに多い)に
多く含まれ、グルタミン酸分泌を調節
しています。
グルタミン酸は、脳内の興奮性の神経
伝達物質です。
グルタミン酸濃度が過剰になり、
神経細胞が長期に興奮すると、
神経細胞に毒性をもたらし、
最終的には神経細胞が死んでしまいます。
銅過剰はその毒性により、
アミロイドプラーク(アミロイドのかたまり)
の増加につながります。
そしてアミロイドプラークは、
神経で使われている亜鉛と結合し、
亜鉛を枯渇させてしまう可能性があります。
(Kamil,2011)
https://www.amazon.co.jp/dp/4584139024/
また、タンパク質と結合していない遊離銅は、
アミロイドと呼ばれる異常タンパク質の沈着
(アミロイドーシス)を促進し、
フリーラジカル(活性酸素)を発生させます。
(Nestor,2004)
そのため、銅過剰による酸化ストレスは、
アルツハイマー病のリスク因子の一つ
となります。
一方、亜鉛は、
スーパーオキシドジスムターゼ(SOD:
細胞内に発生した活性酸素を分解する酵素)
の必須成分で、抗酸化に働きます。
(Tapiero,2003)
そのため、亜鉛をしっかり摂ることが、
アルツハイマー病の治療に結び付く
可能性があります。
アルツハイマー病の遊離銅過剰に対して、
亜鉛の摂取(50mg/日)は、
銅のキレート剤※を使うより、
安全な治療法となるでしょう。
(Tjaard,2011)
※キレート剤
特定の金属と結び付くことにより、
金属を不活性化する働きをする薬剤。
日本栄養精神医学研究会 奥平智之講義より