最近よく聞く「ファスティング(断食)」。
テレビやSNSでも、「ファスティングで痩せた!」という話を見かけることが増えましたよね。
でも、そのやり方、本当に正しいですか?
「芸能人がやってるから」「なんとなく痩せそうだから」と自己流で始めていませんか?
「なんとなく食べなければ痩せるでしょ」
「自己流で1日何も食べなかったら、次の日体重が減ってた!」
──こうしたやり方は、短期的には体重が減って見えるかもしれませんが、体の中では思わぬトラブルが起きている可能性があります。
このブログでは、
- 自己流の断食がなぜ危険なのか
- 正しいファスティングのやり方とは?
- 体にどんな効果があるの?
といったポイントをわかりやすく、専門知識に基づいて解説していきます。
「なんとなく空腹を我慢すれば痩せるでしょ?」というあなたのイメージが、
この記事を読み終えるころにはガラッと変わっているはずです。
1.自己流ファスティングの落とし穴とは?
ファスティング=ただ食べないこと、と誤解していませんか?
自己流で何も食べずに空腹だけを我慢するやり方は、以下のような大きなリスクがあります。
・空腹時間が長すぎると体に危険
断食によって体は「エネルギーが足りない!」と感じると、血糖値を調整するホルモン(インスリン)や空腹を感じさせるホルモン(グレリン)が乱れます。
その結果…
- めまいや頭痛
- 集中力の低下
- 反動でドカ食い
などが起こりやすくなります。
特にグレリンが過剰に分泌されると、ストレスがたまりやすくなり、逆に太りやすくなることも。
正しい空腹時間は、ホルモンバランスの安定にもつながるのです。
・水だけファスティングは危険
「水だけで1日乗り切った!スッキリ!」という声もありますが、それは体の中で脱水やミネラル不足が進んでいるサインかもしれません。
実は、体は水分だけではなくミネラルも一緒に失っていくのです。
水だけの断食では、体内のバランスが崩れ、頭痛や倦怠感、時には心拍リズムの乱れにつながることも。
正しいファスティングでは、ミネラル補給がとても重要なのです。
・回復食を甘く見るとリバウンド
「やっと終わったー!ラーメン食べよ!」
これ、NGです。
断食後の体はとても吸収がよくなっているので、ここで油っぽいものを食べると胃腸に大ダメージ。
また、飲食物が体内に一気に入ると、血糖値が急上昇しリバウンドの原因になります。
2.正しいファスティングのやり方(3ステップ)
ここでは、ファスティングを安全かつ効果的に行うための方法をご紹介します。
ファスティングは自己流でなく、段階をふんで行うのが基本です。
以下は、実際にプロの栄養士や専門家も勧めているステップです。
【ステップ1】準備期(断食の前日~前々日)
体を慣らす期間です。
いきなり何も食べないと体がびっくりしてしまうので、まずは優しい食事から始めます。

- おかゆやスープなど、胃に優しい食事を摂る
- 野菜中心のメニュー
- 水分は1日2Lを目安にしっかり摂る
- 揚げ物や肉、カフェインやアルコールは控える
【ステップ2】ファスティング当日(1~3日)
ここでは完全な断食ではなく、必要な栄養素を含んだドリンクをとるのが基本です。
- ファスティング専用酵素ドリンクをこまめに摂取
- 無理に断食せず、エネルギー不足にならないよう気をつける(体調が悪いときは中止)
- 軽いストレッチで代謝を促進
「ただ食べない」のではなく、「必要な栄養素を補いながら空腹時間を作る」のが正しいファスティングです。
【ステップ3】回復期(断食後の1~2日)
いきなり普通の食事に戻さないことが大切。
腸内環境を整える食品からスタートします。
- おかゆ、スムージー、味噌汁など
- 発酵食品(納豆・ぬか漬け・味噌など)
- 野菜、海藻類など
※この時期に発酵食品や食物繊維を多く含む野菜を摂ると、腸内の善玉菌が活性化し、「短鎖脂肪酸」という物質が作られます。短鎖脂肪酸は、腸の粘膜を整え、炎症を抑える働きがあることがわかっており、免疫力の向上にもつながります。
この回復期は、ファスティングを成功させる上で非常に重要なパートです。自分の生活にあった食品を取り入れながら、挑戦しやすいメニューで継続を目指すのもおすすめです。
胃腸に優しく、栄養のあるものを「ゆっくり」「少しずつ」食べるのがポイントです。
3.ファスティングの効果とは?
ファスティングは、体や心、そして生活習慣そのものにさまざまな効果をもたらします。目的に応じて正しく取り入れることで、体調の改善だけでなく、生活の質(QOL)向上にもつながります。
正しく行えば、ファスティングは体にとってたくさんの良い変化をもたらします。
・代謝がアップして痩せやすい体に
断食中は体のエネルギー源が「糖」から「脂肪」に変わります。これをケトン代謝といい、脂肪燃焼効果が高まるのです。(2)
・オートファジーで細胞が生まれ変わる
「オートファジー」とは、細胞が古くなった自分の部品を分解して再利用する仕組み。
ファスティング中にこの作用が強く働くことでこの機能が活性化し、細胞の若返りや修復が促されるとされています。(1)(2)
このメカニズムは、2016年のノーベル医学賞でも注目された科学的根拠のある現象です。
・腸が休まり、免疫力もアップ!
ファスティングは腸を休めるという意味でも効果的です。
さらに、回復期に良質な食事をとることで、腸内の善玉菌が活性化し、体全体の健康にプラスの影響を与えてくれます。
・味覚がリセットされる
ファスティングを行うことで、普段濃い味に慣れていた舌が一度リセットされ、薄味でもしっかりと風味を感じ取れるようになります。
これは、味覚細胞が一時的に敏感になるためです。結果として、素材本来の味を楽しめるようになり、加工食品や高カロリーな料理に頼らなくても満足感が得られるようになります。
健康的な食生活を続けるうえで、とても大切な変化です。
自己流でなく、正しい知識と栄養のサポートがあってこそ、ファスティングは効果を発揮するのです。
4.まとめ:自己流より、知識をもって安全に!
ファスティングを成功に導くには、適切な方法を理解し、正しいステップを踏むことが欠かせません。
ファスティングは、「とりあえず食べなければいい」というものではありません。
自己流ではなく、正しいやり方とステップをふむことで、はじめて体にやさしく、そして効果的な健康法になります。
「ファスティングって空腹を我慢するだけでしょ?」という時代はもう終わりです。
今のファスティングは、栄養とミネラルをしっかり補いながら体をリセットする健康法。自己流でやってしまうと、せっかくの健康効果が半減どころか、逆効果になってしまうことも。
無理なく、安全に、楽しく。
それが、本当に体が喜ぶファスティングの第一歩です!
《参考文献》
(1)Intermittent Fasting and Metabolic Health.pdf
(2)Fasting Molecular Mechanisms and Clinical Applications.pdf